真夜中のアリス

きっと、きっといつの日にか迎えにいくから。
時計を持って、君を不思議な世界を誘うかのように僕は君を迎えにいくから。
だからずっと忘れないでいて、僕のアリス。

言葉を持たない僕はそれさえも伝えられなかった。

ぎゅっと震える手を握りしめる。ただ何も出来なかった自分が悔しくて。
目の前で泣いている幼いアリスを抱き寄せることも涙を拭うことも、名前を呼ぶ事も出来なかったのだから。

次の瞬間、今度は真っ白な光が僕の視界を覆い今度は白い霧が立ち込み君の姿をまるで神隠しのように連れ去っていく。

「…!いかないでっ!!僕の…、僕のアリス…!」

叫ぶや否や、霧はぴたりと止みゆっくりと晴れていく様を伺える。
そうこうしているうちに霧の中に2つのシルエットが現れた。今度は成長を遂げた、現在の姿のアリスと彼の姿だ。
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