真夜中のアリス

幼い君が見せていた笑顔とはまた違った、本当に幸せだといわんばかりの花が咲き誇るような笑みがそこに存在していて絶えず零れていた。
大切で大好きな存在が、アリスの隣にちゃんと存在していた。それは紛れもない事実で。
彼が現われたことで、アリスは幼い頃のように夜の闇に包まれて膝を抱えて泣いてなんかいなかった。君の中に僕はもういなくて、少し悲しかったけれどそれ以上に嬉しかった。


「わたし、朱鳥くんの隣にいれて幸せ。」

「俺も同じだよ。瑠衣ちゃんが大好きだから」

寄り添いあいながらの睦言。少しの照れと最大級の幸福感を余すことなく全てをその笑顔で表われていた日々。
この光の日々がずっとずっと続くものだと、誰もかれも信じていたことだろう。
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