真夜中のアリス
声を詰まらせながらそう語る彼の深い悲しみが、僕にも伝わってくる。
現実逃避をして、何も考えないように淡々と日常に回帰しようとする君の心に暗雲を立ちこませるあの出来事。
この世界でアリスが闇夜の日の闇に魅入られてしまったのも、それが起因しているからだろう。
わかっていたつもりだった。
けれどアリス自身気付いていない、アリスの闇を僕は本当に理解っていなかったみたいだ。
記憶の中の君は、まだ何も知らないままずっと笑っている。大切な存在を失って傷ついた心は彼という存在で癒され、新たな幸福と充実感を手に入れたことを噛みしめて。
これから降りかかる、暗雲の闇がすぐそこにまで近づいていることに気づきもしないまま…。
“ねぇ。俺は…間違っていたのかな”