真夜中のアリス
遠くの方から、陽気な音楽が流れているのか。
それは穏やかな風と共にこちらにやってきた麗らかな囀りのように、優しくあたしの目覚めを促す。
軽やかなピアノの旋律。まるでジャズのよう。
耳障りのいい音楽と共に閉じていた瞳を開く。
「ふああ…、なんかよく寝た気がす…」
伸びをしながら周りをなんとなく見渡す。とそこで漸く自分の置かれた現状を思い出した。
「何がよく寝ただわ!あたしいつからここで寝てたの!?」
思考がクリアになり、置かれている状況と自分がなしていた状況に削ぐわない行動に悶絶する。
あの変なカジノとオーナーって呼ばれていた巨大で変で、でもとてもクールな紳士の芋虫。