真夜中のアリス
最後にいた場所は、真っ黒で光さえ見つけられない憂鬱な世界ででも少し心が安らいだそんな場所だったのに今いる場所はその真逆。
例えるならば絵本の世界に飛び込んだような、色とりどり鮮やかな世界。ジャズのような音楽も鳴り響いたまま明るく照らしている。
「…あたし、まだ寝てんのかな…」
頬を強くつねると間違いなく訪れた痛み。
「いててて!違う、夢じゃないこれ!」
間違っても夢ではない事を確認をして、もう一度辺りを見回す。恐怖の何者でもなかったあの黒は消え去り、うって変わっての青空と橙色のした太陽。招かれる筈ではないあたしを招くように、高らかに音楽は楽しげに鳴り響く。
もう、あの痛々しい頭に響いた声は聞こえない。