真夜中のアリス

Eat me!


ゴーンゴーンと古時計が振り子を揺らしながら、針が頂上に到達をした事を知らせる。
立ち尽したままのあたしは2つの選択を選ばざるえない状況に陥る。

「…飲むべきか飲まざるべきか…。けど怪しすぎる…」

手に持たれた赤と青の瓶。両方とも何やら畏怖を放っている…ような気がする。
瓶を一度手元から離し、身体を屈めて小さな扉を開けて覗き見ると、視線の先で待ちくたびれたように白ウサギはスヤスヤと寝息をたてている。
確かに布団のような、柔らかさそうな草木に穏やかな気候と足取り軽やかな旋律の音色。眠りを誘うのに最適なのだろう。

「…余裕ぶって寝てるし!何よウサギのくせに生意気…!」
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