真夜中のアリス
そんなウサギの姿を見て、何やら胸の中心部分と顔というか頬が熱く滾るものが芽生えていく感覚に支配されて、気がつけば赤いキャップの方“私を飲んで!”と書かれてある瓶を手にしていた。
「飲んでって言うんだから飲んでやろうじゃない…」
どきんどきんと高鳴る鼓動。けれどどうなるのかが想像もつかないから、一応青い瓶も手に持っておく。
「物語通りに進むのなら…悪いようにはならないでしょう…!」
悪い方向に考えないように上向きな言葉を繰り返し呟いて勢いよくキャップを開けて一口。
「うっ…なにこれ。不味っっ…。寿司酢みたいな味がする」