真夜中のアリス
「…これは、まあまあイケるかも…」
苦くもなければ甘くもないそれ。
飲んだ瞬間、どくんと身体が疼き、さっきとは真逆な感覚。手足が早いスピードで、伸びていく。手足だけじゃなくて、身体も元の身長よりも…、高くなっていく。
それなのに、衣服は破れずにいる。
膝を隠す長さであったスカートは太ももを露にする程の短さに代わっていたが。
「お、大きくなったー!」
視界はやけに良好。
遠くに感じていた白亜の城は二、三歩(ではないだろうけれども)で着けるじゃないかという錯覚。
キョロキョロを繰り返していたら、何やら鼻がツーンと痛み涙腺が溜まりはじめる感覚。同時に悲観的な気分になる。