真夜中のアリス
「ひっく、ひっく…、うぅ…」
未だに泣き止む術が見付からず、涙は大きな雫石と化して辺りを濡らしていく。
何とか回避しようと逃げ惑うウサギ。その姿を見ただけでまた悲観的な気分に陥り涙が溢れだして止まらない。
「なんでキョロキョロするのよー!」
そんな自分でも思う、クダラナイ事が無性に悲しくて悲しくて。
感情の急降下は止まることを知らずどんどん滑り落ちてゆく。涙で作った池もいつの間にか完成していて、たっぷりの涙水が容量をオーバーして流れ溢れ返り、辺りを濡らしていた。
と、足に何やら柔らかいものが擦り寄っている感覚。
足元を見ると白ウサギが自分の身体を寄り添わせて甘えるような仕草をしていた。