真夜中のアリス
足元を見ると白ウサギが自分の身体を寄り添わせて甘えるような仕草をしていた。
まるで泣き止まそうとおどけてくれているみたいに。思わず涙が止まって、擽ったさにくすくすと笑いが込み上げてきた。
「なによ、あんた…。うふふ、くすぐったいよ」
降り注ぐ涙が止まった事により涙の池には綺麗なアーチのように7色の虹がかかっていた。
それをバックに流れているのは軽快なピアノとトランペットとサックスが奏でるジャズ。
そこにホルンやトロンボーンの金管低音楽器の音色も混ざり合い、ますます音楽は愉快なものに変貌を遂げる。
花や草も鳥も何もかもが楽しげに揺れているように見える。何とも美しくて愉快な風景なのだろうか。