真夜中のアリス

ウサギの後を追ってあたしも駆け出す。
先ほどのように、目的地を目指すように一目散に走り続けるウサギとわけのわからないまま見失うわけにはいかないと、それに続くあたし。
それはまさに終わらない終わりが見えない、追いかけっこの始まり。

勢いよく進んでいくものだから、ウサギの速さに付いていけず気が付けば取り残されてしまった自分。
周りは草花で溢れていて、同じような風景。道も何もない。

「…“道なき道”ってやつか…。はぁ…、どうしよう…」

落胆。手懸かりを失ってしまった今、どのような風に行えばいいか検討がつかない。
その近辺に生えていた、キノコの上(クッションみたいに非常に柔らかい)に座って一息つく。
その間も艶やかで愉快な音色は鳴り止まない。
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