真夜中のアリス
ずらしたバランスを元に戻せないまま陸橋の方に身体を戻し倒される。
ばしゃんと水溜りの中に入ってしまったのか、大きな音と共に感じる不快感。
「…いったあ…何なのよ…今の…」
倒れ込んだ拍子に腰を強く打ち付けてしまったらしく、ずきずきと痛みに襲われる。
ふっと顔をあげると、先程まで誰一人として存在しなかったこの場所にちょこんと立ち尽くす物体。
「…? ウサギ…?の割には真っ黒な毛並み…?
てか何でこんな所に…」
こんな街中にいるはずのないウサギがあたしを静かに凝視している。