真夜中のアリス
流れる音楽も、軽快なピアノと金管楽器が織りなすジャズから、重厚な音域で奏でる鎮魂歌に早変わり。変わらず、ガサガサと草木の音。徐々に気持ちと同調するように空も薄暗く灰色に変色し始めていた。
「ちょっ、なんでいきなり…。なんでレクイエムとかなのよぅ…」
そんな事を大声をあげて叫んでみるけれど、ただ谺するだけ。鳴り止まない鎮魂歌に不気味な羽音。そして威嚇するような鳴き声。ひとりで進む事にも徐々に恐怖を感じ始めて、足元もだんだん重くなる。
「人間…てか言葉通じる人、ここにはあたししかいないのかな…。芋虫さんみたいな人がいればいいのに」