真夜中のアリス
いくらウサギや双子たちが言ってた通り、ここはあたしが望めば何でも叶う世界だと言ってもそれだけは叶うわけがない。
だってここは、あたしの記憶と心情から形成されているに過ぎない世界なのだから。
カラフルでモノクロ。
甘い砂糖の裏にある苦み。
そして頭に鳴り響く無数のコエ。
この世界で全て体現してきた事。それは全てあたしの心の中に抱えてる、持っていたもの。
「…だとしたら、とんだ乙女思考の持ち主だったのねあたし…。」
はあ、と大きな溜め息をついて未だに会えない彼やウサギの事を想って落ち込んでやろうかと、その場にしゃがんだ。