真夜中のアリス
「…ご、ごめんなさい」
「いいさ、気にすんな。カップだって可愛い子に使われて役目を果たしとなればこれまた本望さ。」
ケラケラと笑いながらカップの破片まで隈なく探し片付けてくれる姿に非常に申し訳なさを感じてしまう。
「ああ…、お茶が染みになっちゃいましたね。
濡れちゃってますし、こんな格好で彼に会うのは嫌でしょう?わたしの服を貸してあげますから着替えてきてください」
レジーナの言葉に聞き逃せない単語があり、それだけでびくんと体に雷が落ちたように(食らったことはないけど)、あたしの身体と思考は一瞬とまる。
それを見逃さなかったレジーナから綺麗な笑みを浮かべながら更に一言。
「着替えて、お茶を淹れ直して貰ったら一からお話をしましょう。だってお茶会は始まったばかりなのですから」