真夜中のアリス

それに、先程レジーナが口にした「彼に会う」の真意がどうしても頭から離れない。

「…もう。本当にせかせかとせしわしい人ですね。まあ、お茶会も中盤になった事ですしお話しましょうか」

かたんとティーカップをソーサーの上に置いて、一息にこりと笑うレジーナ。その笑みはどこか、優しさに満ち溢れた慈愛を感じられる。

「みんな口を開けば、この世界は“アリスの願いが何でも叶う”って言っていますよね。
確かにそう。だってここは、アリスが思い描かないとわたしたちは存在すらしません」

レジーナの話を聞きながら隣で首を縦に振り続けるナイトさん。森の動物たちもその様子を固唾を飲むように見守っているようだ。

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