真夜中のアリス
ぱああん テーブルを叩きつけてる。その衝撃でカップの中に入ったお茶が宙を舞ってテーブルクロスに浸透していく。真っ白だったクロスは茶色の水玉模様に変化していく。
そんな水玉の上にぽつり ぽつりと透明な雫石が降り落ちる。
それは雨のように変化して、じわじわと茶色の水玉は面積を拡げて大きくなっていく。
「聞いてください、アリス。
あの出来事は決してあなたが引き起こしたわけではありません。だからあなたが罪の意識を感じながら生きる必要性など皆無に等しいんです。
彼は…いいえ彼らはそれを懸念して、あなたの姿を見る度心を痛めておいでなんですよ」
諭すような言葉ではっと顔をあげる。
そこまで知っているのか という風に少しだけ悲哀を込めた笑いが浮かび出る。
「さすがね、無表情の笑顔の知識者って。
知ってるんならわかるでしょ…
でもいいよ、あたしの口からちゃんと話するよ。懺悔も込めて」
あの日のことを。
そして降り止まない雨の理由を。