真夜中のアリス

「彼の名前だとか、クラスだとかは調べなくても直ぐにわかったの。有名だったし、男女関係なくみんなと仲よかったみたいだからさ。だからあたしなんて、向こう半年は全く関わり合いが持てなかったの。」

入試は全問正解でトップ入学そして試験という試験は全てオールS、噂では権威のある先生に可愛がられ研究に一躍買っているだのいないだの。
それだけではなく、運動神経だって良くて性格だって温厚でみんなの人気者。みんなの輪の中心にいて優秀でいて非凡の世界にいる彼と至って普通で、可でもなく不可でもない群衆の中の1人で平凡を地でいくあたしとは住む世界が違いすぎた。クラスも違えばサークルでさえ違う、そんな彼に話すなんて疎か、近付くことすら出来やしない。


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