真夜中のアリス
そんな関係にピリオドが付いたのは、またあの日と同じ秋の穏やかな暖かい日だった。
授業を終え、ひとりで銀杏並木の道を歩いていた。何の気なしに目線を正面に向ければ、前方から彼が此方に歩いてきてたの。何時もと様子がなんだか違うくて、口を閉じてすごく緊張しているような、穏やかな笑みのイメージしかないあたしにはちょっと吃驚で何か体調不良かと思って思わず駆け寄った。
「どうしたの!?って、声をかけたらね、手を握られたの。彼の掌は何故か凄く汗ばんでて更に顔も強張り続けてた」
何かに対して緊張をしている事は明白だったけどその理由はあたしにはさっばりなのだ。
けれど強く握り締められる手がやけに暖かくって離れがたかったの。