真夜中のアリス
「わかってる…わかってる!だけど、今はまだその時じゃない」
『おや?どうやらウサギくんの方が理解力が早いね。その早さに感服の意を表明しよう。
問題は君だ。今までだってずっと待てたんだ。あと少しの辛抱が何故出来ない?』
この言葉には俺も彼も硬直するしか術がない。
“…君は一体何なの?
何故…俺とウサギくんの関連を知っている?”
『面白い事を聞くね。何故だかは、君が一番解っている筈だろう?
ヒントはここまで。
安心しなよ。物語の針は、留まる事を知らず確実に進んでいる。
終わりが見えない悪夢などないようにね。
それじゃあ、僕は退散するとしよう。
君たちに幸あれ!』
一方的に話しかけておいて、こちらの話などに耳を傾ける事なくすぅと消えていく声。