真夜中のアリス
ふと気付くと、遠巻きに見ていた筈の森の動物たちはあたしの足元に集まっていて、心細いというような瞳を浮かべて俺を見つめていた。
「…うん。ごめん。みんな、ありがとう…」
気付けば涙はとうの昔に止まっていたよう。
借りたハンカチを軽く目に宛がって、流した形跡を拭き取る。
赤く瞳を腫らしたままだけど、今自分に出来る最高級の笑顔を向ける。
と言っても、口角をつりそうになりながら究めて不自然で固い笑みなのだけれども。
だけど、まだ笑える という自分に驚きを隠せなかった。
「あー!アリス!全然お茶進んでないじゃん。
せっかくのお茶なのに!」
それまでレジーナの隣で小さく頷いていたナイトさんは、手付かずのティーカップを見て絶叫をあげる。