真夜中のアリス
「あらら。それにお菓子も。要らないんならわたしが食べちゃいますよ?」
それに便乗して、フォークを手にしたレジーナは悪戯にあたしの前に置かれたショートケーキを見て笑っている。
「だ、駄目よ今から食べるんだから!
レジーナはさっき自分の分ちゃあんと食べたでしょう!」
お皿を抱えるように身を挺してレジーナからケーキを遠ざければ沸き上がる陽気な笑い声。
「全くアリスってば、必死なんですから。
でも残念、苺は戴きましたよ♪」
「え…っ、ええ!?ない!!ショートケーキの苺がない!!」
クスクスと笑うように、風は優しく吹いて薔薇の花も揺れ仄かな薫りが立ち込める。
穏やかで優しい、お茶会は和やかに進んでいく。