真夜中のアリス

気付けば湿気が部屋中に充満していて、やけに暑苦しい。額に手をやればじんわりと汗が滲み出ている。それがひどく不愉快なのだけれども
気怠さが拭えず身体を起こす気も何かを飲食する気も起きなくてただただ、惰性に睡眠を貪るだけ。

「…そろそろ起きゃなんないんだけどなー」

サァサアと降り続ける雨音の中に独りきり。自分以外、誰も存在しない空間の中での独り言。言葉はそっと空気に溶けて消え去る。

「(…そうやって、あたしも誰にも気付かれないように消えてしまえればいいのに)」
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