真夜中のアリス
しかし“うっかり”って、そんな簡単なノリでいいのか…?
「まあ、そんなもんだよ」
エースさんがこっそり耳打ちをする。
「ちょ!?なんでわかっ…」
全身を使って驚きを表すと怪訝そうにレジーナがひとつ咳払いをして今度はエースさんと一緒に睨まれてしまった。
「…ごめんなさい。ひとつ聞いていい?幻想ってあの嫌悪感満載だった声とか…、呼んでも呼んでも一切こっち見てくれなかった朱鳥くんとか…?」
恐々と疑問を口にすると、間髪入れずレジーナは答える。
「ええ。それは、アリス自身が心で思っている事ですけれど。ここではあなたの考えが全て現実化しますからね。
きっと怒っているから“彼”は呼んでも振り向いてはくれないだろう、きっと“自分”なんて誰も愛してはくれないだろう なんてお思いになられていたのではないでしょうか?」