真夜中のアリス
「はい、これ。アリスにやるよ、俺が持っていても仕方がないし」
満面な笑みのナイトさんから手渡されたのは、先程レジーナがぼやいていた小さな髪飾り。深紅と薄桃の薔薇が突出して黒いレースはまるでそれを被うような蔦の役目を果たしている、そんな入り混ざった綺麗な一品。
それをレジーナに手渡し髪にセットしてもらうと上がる歓声。
「お似合いですよ、アリス!やっぱりアリスの髪の色に映えますね、思った通りです」
「随分とまあ、また一段と愛らしくなったな!
これならウサギの野郎もあのすました顔を破談させるんじゃねえ?」
「あはは…、それはどうも」