真夜中のアリス

頭を抱え、自らの愚直な思考に溜め息を漏らすと、つかさずエースさんは慰めるかのようにあたしの肩を叩き笑顔を見せる。

「急に持ってこられたら、そう思っちゃうよね」

「というか、ナイトさんがこんな可愛らしい髪飾り付けてるなんて、それこそ喜劇の何物でもありませんよ」

そこで漸く会話を割ってレジーナは告げる。途端に沸き上がる笑い声。

「ちょ、レジーナちゃん!否定はしないけど喜劇って酷くない?」

「じゃあ付けてみます?エースさん並に笑っちゃうと思いますけど」

「はへぇ!?俺関係ないよね!?」

沸き上がる笑い声と蓄音機から流れる希望に満ち溢れたトランペットの音色。けれどそれは永劫の別れを意味するものでもある。
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