真夜中のアリス
「さてと。じゃあ行きましょうか、アリス。
早く物語を終わらせないとでしょうし、彼にお会いしたいでしょう?」
レジーナは相変わらず尻尾はゆらゆらとゆらめて、エースさんと共に前に立ち手引きをする。
後ろを振り向けば、深々とシルクハットを被ったナイトさんが腰をかけ、森の動物たちとのんびりとお茶を飲み変わらない笑顔を向けて“アリス”としてではなく、あたし“自身”に向けて別離の言葉で見送る。
「じゃあな、アリス。もうこんなとこ、来ちゃ駄目だかんな!」
「ナイトさん…」
思いもよらない言葉。別れが辛いのとそんな言葉に呆然と立ち尽くすあたしを見て、再度苦笑いを溢しながら立ち上がり一歩、また一歩と距離を縮めてくる。