真夜中のアリス
穏やかな風は木々を揺らし花を揺らし、心地の良い薫りを運び遥か彼方へ連れ去ってゆく。
「大丈夫だよ、アリスなら。悲しみを、苦しみを乗り越えられたアリスならもう闇夜なんかに囚われる事もなく前を向いて笑顔で進んでいける筈だから。
どんな事があっても、笑顔だけは忘れちゃいけないよ」
震える手を握り締めて、もう片方の掌を大きく伸ばして大袈裟に手を振り続ける。
「あ、ありがとう!ナイトさんの事もお茶の味も全部全部忘れないから……っ!」