真夜中のアリス
いつの間にか猫のスタイルじゃなく、赤の女王としての公式な出で立ちウエストがキュッと締まっていて、腰にはハートのチェーンが巻き付けられていて、更にフリルが3段続きの真紅のドレスと切りそろえられた紅い髪とちょこんと存在しているけれど、紅髪に映える薔薇の髪飾りが麗しい女王様に変貌していた。
「な、何言ってんの!駄目に決まってんじゃん!それこそ冷酷非道の赤の女王さまになっちゃうって!」
「実際問題、そうなんだから大した事柄ではありませんでしょう?ね、エースさん」
白ウサギを抱き抱えたままトボトボと哀愁よろしくと云わんばかりの背後に憂いさを持って歩くエースさんに唐突に声をかけ、エースさんは困った笑みを浮かべ驚いたかのように肩をびくんと跳ねさせた。