真夜中のアリス
ぎぃぃと、開いた先に更に存在していた重々しい扉を手をかければ簡単に開き城の中に招かれる。
辺りはくらく幾重に灯篭の灯りだけが点々と続いており、延々と下へと続く螺旋階段がそこに存在していた。
少し臆するが、そこは勇気を振り絞り鍵を握りしめて一歩。また更に一歩。階段を下り始めれば緩やかに閉じる扉。もう後戻りは出来ないようだ。
カツンカツン
あたしの靴のヒールの音だけが谺する城内。
歩くたび揺れる炎、靡く髪。そして高まる期待と全てが終わってしまう淋しさと恐怖が入り混じりながら先へ進む。
一歩進む度に、更に記憶が甦る。幸せだった日々、苦しかった過去。そして犯した贖罪。