真夜中のアリス
陽さえ入らない地下に咲く薔薇の為に造られた人工の太陽と暖かな風が穏やかな気候を造り上げていた。
そこに蝶や鳥などが優雅に舞い踊るように飛び交えば花畑だと錯覚してしまうほど、ここはよく忠実に造られていた。
「綺麗….」
そう呟いた瞬間、目の前がカラフルにそして鮮やかに色がついたあの時の夢が現れる。
ずっとずっと思い出せなかった、幸せな日々と大切な宝物の絵本、そこには大切なあの子が此方を見て笑っていた。
「…!思い出した…!」
鮮やかに光る目の前、光が道を指し示してくれているように思え馳せる気持ちが抑えきれなくなり思わず駈け出す、早く早く彼とあの子の所に行かなくちゃ。抱きしめてあげなくちゃ、あたしの時計兎さんを!