真夜中のアリス

「あーちゃんがいなくなったのも、全部あたしの為だったんだよね?あたしが余計に悲しまないように、何時までも引きずらないようにって…。何にもわかんなくて、自分ばっかりであーちゃんの想いに気付けなくてごめんね…」

今思えば、あーちゃんは身体が弱い子だった。自ら動き回ることもなく、自分の小屋で寝てばかり。市販のフードじゃ一切受け付けないし、ママがどんなに工夫してもご飯はあまり食べずにだから身体もあまり成長しなくて、小さな仔ウサギのままだった。だからこそ、あの子はきっと悟っていたのだろう、自分がいつこの世界から去らねばならない日がやってくる瞬間を。

けれど、子どもだったあたしは生死など理解出来る筈もなくだからあの子は思ったのかもしれない、きっとあたしの目の前で生き倒れればあたしが何時までもあの子の死を受け入れられず今以上に心を閉ざしてしまうと。
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