真夜中のアリス
「ごめんね…、ごめんね!」
懺悔の言葉しか出ない。だって幼いあの時だってそう、そして現実から逃げたくて、彼を理由にして逝こうとした時だって、あたしを助けて思い留めさせてくれたのもあーちゃん。
この子がいなければ、きっともう会えることが出来なかった。この不思議で不可思議な国の世界の人々にも出会えることも出来なかった。何よりも自分の犯した贖罪からも目を逸らしたまま、現実から逃げた事実だけが残って、また周りの人たちにもあたしと同じような耐え難い苦痛と悲しみを与えてしまっていたかもしれない。
停滞を望めば、傷付く事もないけれど成長する事もない。本当にその通りだ。
「(謝らないで、僕はずっと幸せだったのだから。思い出してくれてありがとう。それだけでもう充分だよ。
僕がいなくても、もう大丈夫だね。幸せになってね、僕の大好きなアリス)」