真夜中のアリス

「さあアリス、お話はここまでだけど君の物語はこれからも続いていく。だって生きていくことは夢みることだからね。君に永劫の幸あれ!」

後ろを振り向けば、瞳に涙を溜め笑って手を振る朱鳥くん。彼だって苦しくて悲しいんだ。けれどそれ以上に嬉しくて誇らしいのかもしれない。

「朱鳥くん、これからもずっとずっと大好きだからね…!」

手に持つ、最後の鍵をドアに差し込み回せば、ガチャンと音を鳴らす。その音はまるで旅立ちを祝うファンファーレのようだ。
もう一度振り向き、満面の笑みで朱鳥くんに手を振る。



「…約束しよう。
僕はずっとずっと、君の傍にいるよ。
だから、もう泣かないで。僕のアリス」

「ありがとう、あたしの時計兎さん。
もう泣かないよ、だってあたしはアリスなんだから…!」
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