真夜中のアリス

夢の世から目覚めたアリスは、出来事が全て夢だった事実に安堵して優しいお姉さんがいる現実へ戸惑いなく回帰出来た。それはアリスの目覚めを待っていてくれたお姉さんという存在があったからではないだろうか。



高く結い上げた髪がサラサラと風に靡く、カツンカツンと黒のパンプスのヒールが小気味好く鳴り高らかなまるで門出をファンファーレのよう。

新しい夢を見つけたあたしは、それに向かう為に前だけを見て笑顔で歩き出すことにしたのだ。彼や大切なあの子を思うと、今も胸が張り裂けそうに痛い。そして苦しくなる。それはきっと未来永劫変わらないことだと思う。

けれど痛みを乗り越えた先に待つのは、輝かしい日々だと信じ前だけを向き進む。
それがぼんやりとだけれど覚えている、彼との最後の約束だから。そして。



”生きていくことは夢を見ること”なのだから。



END
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