真夜中のアリス

底なしの奈落へ落ちていくとは、こういう事を指すのだろうか。重力の赴くままに体を預けて流れにのる。なかなか止まりそうにない、速かったりゆっくりだったり…疎らなスピードに身を任せながら頭から真っ逆さまに落ちていた。

声を出そうにも気圧の影響か、口を開くことさえ出来ない。

そうこうしているうちに、真っ暗だった世界がいきなり色彩を取り戻したかのような輝きを放つ。赤 白 黄色と様々に色が踊りだし、透明な球体がどこからともなく現れシャボン玉のようにふわふわと映りは消えを繰り返す。そして突如無音映画のように鮮明に映し出されるビジョン。

「…!?な、なに…これ…?」
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