真夜中のアリス

下半身に感じる痛覚で目を覚ました。
が、回りは真っ暗で自分の瞳は開いていないのかと寝惚け頭で思案するも、この一帯が暗闇に覆われていることにうっすらと気付き始める。

「何よここ…。何処…?腰も痛いしなんか暗いし…」

腰をさすりながら立ち上がり、暗い道を勘だけで辿ってみる。ツーンと鼻腔を刺激する森林の匂い。サク、サクと歩くたびに音を奏でる落ち葉の感触。どうやらここは森のようだ。

「…って!森!?なんで!?」

そういえば身体は寒くない。髪や服を触ってみると、あんなにもずぶ濡れだったのにすっかり乾ききっている。というより濡れた事実がなかったかのようだ。しかも傷みきっていた髪は指通りよくさらさらと靡いている。するとそこに…。

「あ!いた!待ちなさいよウサギ!」
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