真夜中のアリス
「え!?もしかして…着いてきちゃったのアリス!?」
此方に負けじとウサギも大声で、でもあたしの顔を一切見ずに会話は始まる。
お互い走りながら、不思議な追いかけっこのようだ。
「着いてきたってか…なんか変なゴミ箱から落ちたらここに着いたの!
ていうか、あたしはアリスとか言う名前じゃないって言ってるでしょ!」
「うわー…どうしょう…。バレたら女王さまに首をちょんぎられちゃうじゃないか…」
ウサギはそのまま思案の海に飛び込んだかのように、走りながら、うん うんと唸り声を小さくあげる。まるであたしの存在なんかは無視状態だ。