真夜中のアリス
自分ひとりだけの息遣いだけが谺する、闇の空間。静寂は冷静さを取り戻させ思考が纏まりはじめた今、新たな感情が芽生える。
「…なんで…あたし…。こんなとこに独りでいるんだろう」
呟いてみて苦笑する。自分の置かれた状況がまだよくわかっていなかったみたいだ。
「何…言ってんの。どこにいても、あたしは独りぼっちじゃない…」
ぽつりと吐いた言葉を、それを同調する人も否定してくれる人も誰もいない暗闇の静寂。
まるで躊躇の森の中だ。この先に進むのも戻る事も憚れ、どうすればいいのかさえも検討がつかないのだから。こみ上げてくる何かに気付かない振り。