真夜中のアリス
「…で。ここはどこよ。早く言わなきゃ、あんたあたしの夕飯になるよ?」
「さっきまで汐らしく泣いていたアリスはどこに行った!」
暫し、時間が過ぎようやく落ち着きを取り戻したあたしは詰め寄るかのように、ウサギに説明を求めていた。
周りは暗雲立ち込める森の中。光さえ吸い込まれてしまうような黒と緑に支配されてしまう、そんな場所。
ウサギが持っていた、懐中時計に内蔵されているらしい、ライトでどうにか灯りを保っている。
黒が強すぎて、時間の概念が一向に定まらない。そんな不可思議で仕方ないこの状況、当惑気味なあたしに気付いているのかいないのかウサギは小さく口を開く。