真夜中のアリス
「あ、アリス、見てごらん?目前に看板があるよ?」
先程の会話をシャットダウンするかのように、目の前に提示されているものを指を指して位置を示唆する。暗くてよく見えづらいが、確かに横に長い板の看板がそこにはあった。
木で出来ているようで、所々老朽化が見られる。長い時間、ずっとこの場所で存在し続けて、人たちの道標の任も果たしてきたのか。たくさんの雨や雪といった自然がもたらす水分を吸ったりしてきたのだろう。どうやら腐り落ちるのも時間の問題のようだ。
「アリス、読んでみてくれるかい?僕らにはなんて書いてあるのかが、わからないから」
手招き、ウサギは看板に書かれている文字に今度も指を指す。