真夜中のアリス
事実手を繋いでいると言っても、端から見てしまえば大人と子どものような体格さ。さしずめ、幼児の手を親が繋いで歩いている という表現があっているかもしれない。
「はあーはあー…。そんなに急いだって距離に変わりはないんだよ?」
「時計兎としてその発言はどうかと思うよ。大体あんた、急いでたんじゃなかったわけ?」
汗を拭うような動作と手つきでそれもどこから現れたのか、これもまた小さなハンカチーフでおでこやらその長い耳を抑えるようにぽんぽん当てている。その姿はまさに優雅さを忘れない紳士そのものだ。
「まだ城にお戻りになられてないみたいだから、ちょっとは余裕が出来たんだ」