真夜中のアリス
「…知っているよ。ずっとずっと昔から…。
君は忘れてしまっているのだけれども、僕は1日たりとも君を忘れた事などなかったのだから」
「…え、会った事…あったっけ…?」
「時がくれば…全て解明される。けれど今はまだその時じゃない。だから君はまだアリスのままなんだよ」
“さぁ、アリス”と云わんばかりに差し出されるウサギの掌。
…ウサギはあたしの知らない何かを知っている。
けれど問い詰めても、きっと頑なに口を閉ざして話してはくれないだろう。きっとあたし自らが、思い出したり気付けねばならないのだろう。