真夜中のアリス
「近代的な街に白亜の城って…何のコントよ。こんなの全然合わない!」
「いちいち鋭いツッコミをありがとう」
軽口を叩きながらスタスタと先を行くウサギの後を追って歩く。
何時もの街並み 何時も通りの賑わい。そして見慣れた風景。
思い出がたくさん詰まった、あの人と過ごした大切な街。
複雑な思いを抱えながら歩き続けるとはたと、そこに忘れられない出来事が起こった場所に通りかかる。いきなり歩みを止めたあたしを燻しんで、ウサギは後ろを振り向かせ首を傾げる。
「どうかした?」