真夜中のアリス


「…っ、…ここ…。あたしが飛び降りようとした橋じゃない…。なんでここまで…」

まだ普通だったウサギと初めて会った…というか遭遇した、あのどしゃ降りの雨の夜。
ここまで現れるのか…と苦々しい気持ちになる。

「パラドックスだよ。」

「は?」

「一番始めに話したでしょう?
ここは君が望めば叶う世界だと。思い入れが強いんだね、この街に。ここはやってきた人間の記憶を読み取って反映させて形成するんだ」

淡々とウサギは語る。
では、あたしの気持ちや感情し次第でこの世界はどんな色にでもどんな形であろうとも変化してしまうのだろうか。
そんな疑問を口に出すべく、口角をあげる。
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