真夜中のアリス

しかし、あたしが言葉を発するより数秒早くウサギは甲高い悲鳴にも似た声をあげる。
隣にいたあたしは驚愕、ウサギに関しては黒毛をしているのにも関わらず顔面蒼白になりつつある様子が窺える。

「うわああああ!!なんてことだ!!」

頭を抱えて右往左往移動して如何にマズイ状況なのかを表している。拍子に、ウサギの胸元にかかる懐中時計も悲しく振り子のように揺れている。

「ちょっと!いきなり大きな声ださないでよ!あー吃驚した。それに落ち着きなよ、どうしたの」

半ば呆れ気味でウサギに問いかけるもそれどころの騒ぎではないと云わんばかりに焦り動いている。
今までの冷静沈着な振る舞いの紳士とは間逆の行動だ。

「お、お、落ち着いてなんかいられないよ!!
レ…女王さまが一刻以上前にお戻りになられたみたいだ…!こうしちゃいられない!」
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