俺は、天真爛漫なあのコに流されている
「まったく。何の電話かと思ったら、
『猫、飼いたいんだけど……』
だもんねぇー」
リビングから現れた母さんが、物珍しそうに言った。
「急に、ごめん」
謝りながら、グショグショになった運動靴を脱いで、家にあがった。
「まぁ、いいんだけどね。私もお父さんも猫好きだし、麻衣もあんなに喜んでるし。
にしても、ホント珍しいわよねー。動物に興味なさそうな京人が、猫を拾ってくるなんて。あの麻衣ならわかるけど」
「まだあんなに小さいし、他に拾う人もいなそうだったからさ。
それに……」
湯川も、これで安心するよな。
湯川のことだ。きっと『よかったー!』とか言って、泣いて喜びそう。