俺は、天真爛漫なあのコに流されている


「ちょっと、京人? ガラにもなく何ニヤけてるのよ」


 ぐっ!


 母さんにそう指摘された瞬間、雨で冷えてた顔が一気に熱くなった。


「べっ、別にニヤけてなんかっ」

「さっそく親バカになってるんでしょう。
 最初から『しゃれた名前』まで考えちゃってたし、ふふっ!」

「そ、それはっ……」



 さっき電話でうっかり言ってしまった、『あの名前』のこと。

 うっかり言っただけなのに母さん達も気に入ってしまったらしく、即・決定に。


「いいから、早く着替えちゃいなさい。風邪引くわよー」


 母さんはニヤニヤしながら、リビングへと戻っていった。


 たくっ。俺、湯川に流されっぱなしだ。

 ガラにもないことばっかりしてる。

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