俺は、天真爛漫なあのコに流されている


 けど湯川は、そんな俺の気持ちに気づく様子もなく、更に口を開く。


「そのテーマが『部活動』で、美術部員以外の人をモデルにして描くんだけど……そのー……」


 と、語尾辺りでモジモジしだした。


 何だろ?


「猪瀬に……モデルになって……もらいたくて……」

「え!? 俺がモデルに!?」

「う……うんっ。何パターンか描きたいから、何日間かお邪魔しちゃうかもだけど、隅の方で邪魔にならないようにするから」


 ウソだろ? 何であんまり話さない俺をモデルに?


 そのことにはすごく疑問には思うが、

 湯川にお願いされたことと、

 湯川に話しかけられたことに対して、

 すごく舞い上がっている自分もいる。

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