俺は、天真爛漫なあのコに流されている
麻衣は「お邪魔しましたぁー」と言いながら、ショコラと家へと入っていった。
やれやれ、やっと嵐が去ったか。
さてと……。ここからは、懺悔(ざんげ)の時間だ。
せっかく両想いになったのに、嫌われるかもしれない。
「湯川……ごめん」
「あ、ううん全然っ。可愛い妹さんだね。明るいし。なのに私ってば何だか緊張しちゃって。人見知りはしないはずなんだけどねー」
「麻衣のことも、あるんだけど……」
「え?」
「その……ショコラって名前……」
「あ、そうそう! 猪瀬は信じられないかもしれないけど、私も名前つけるとしたら『ショコラがいい』って思ってたの! すごい偶然でビックリしちゃった!」
湯川は、心からそう信じてるみたいだった。
偶然……か。
このまま偶然で話を合わせれば嫌われずに済むし、それだったら運命的な出来事としてキレイに終わるところだけど、それじゃあ湯川を騙すことになる。
やっぱりちゃんと湯川に事実を述べよう。嫌われてもしょうがない。覚悟を決めた。